読んでたのしい、当たってうれしい。

梶芽衣子さん
御料理 花ぶさ 生芝海老揚しんじょう

 

 密偵・おまさ役で28年間出演させていただいたテレビ時代劇「鬼平犯科帳」。撮影が始まった頃、原作・池波正太郎先生の奥様が案内してくださったのが、「花ぶさ」さんとの出会いでした。先生は毎日のように通われていたそうで、今も店内は先生による書画でいっぱい。私が生まれた神田に近く、下町の懐かしい味が気に入って、35年以上もよくお邪魔しています。

 どれを食べてもおいしいんだけど、一つ選ぶとすれば「生芝海老揚しんじょう」ね。先生も特にお好きだったメニューで、芝エビを包丁ですり身にし、カラッと揚げて出してくれるのが毎回楽しみ。レモンを絞り、お塩を少し付けていただくと、少し残るプリッとした食感とともに「エビ! エビ! エビ!」と豊かな風味が迫ってきて、程良い油分もアクセントになり、幸せな気分になります。手間暇をかけているのが何よりもうれしい。海外にもたくさん出かけたけど、繊細な技ともてなしがある日本の食文化は世界一ね。

 デビュー60周年の今年はライブに挑戦。自分の感情を音に乗せるのは芝居と違った面白みがあります。健康の秘訣は「よく寝て、よく食べる」。いつものように朝にしっかり食べて、お客様と思いっきり楽しませていただくつもりです。

(聞き手・鈴江元治)

 

 ◆東京都千代田区外神田6の15の5(☎03・3832・5387)。午前11時半~午後2時、5時半~10時。3300円=写真は提供例。夜はサービス料10%加算。日曜と祝日は休み。


 かじ・めいこ 俳優、歌手。1947年生まれ、東京都出身。65年日活映画「青春前期 青い果実」で主演デビュー。3月26日に60周年アルバム「セッテ ロッソ」を発売。4月27日に大手町三井ホール、5月10日にビルボードライブ大阪で記念コンサートを開く。

 

 

 

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