吉田有紀さん(現代美術家)
「スター・ウォーズ 新たなる希望」(1977年) 桁違いのリアリティー 子ども心に衝撃
「スター・ウォーズ 新たなる希望」(1977年) 桁違いのリアリティー 子ども心に衝撃
女子高校生・うららは、男性同士の恋愛を描くBL(ボーイズラブ)作品が好きです。彼女はそのことを周囲に話せずにいましたが、70代の女性・雪との出会いをきっかけに、自らも漫画を描くようになります。
うららが、同人誌の即売会で自分の漫画を売ろうと決めて描いてみるも、あまりの実力不足にがくぜんとするシーンがあります。私もイベントに出る時は、周囲と比較してナーバスになりますが、最終的には「今できることをやろう」と思い直します。私が描きたいものは、私が心から好きだと思えるもの。数字や周りの反応も大事ですが、その土台がぶれていないことが重要なんです。
憧れの作家のサイン会に行った雪は、その作家がうららの作品を読んでくれたことを知ります。後から来たうららにそのことを伝えるも、彼女は、今はいったん描いてもらったサインを見せ合おうと提案します。私は好きなことを始めると、大なり小なりミラクルが起きるのは必然だと思うんです。でもそれだけではなく、今目の前にいる人とどんな風に過ごすのか、その大切さを伝えてくれるシーンなので、すごく好きです。
この映画を見ていると、初めてイベントに出た時、緊張から行きの電車で吐きそうになったことを思い出します。自分の「好き」を世の中に出すことはすごく恥ずかしくて怖いこと。でも、その感覚を味わわなければならないと思うんです。そういう体験を自分にさせてあげることが、自分を大事にしてあげることだと思うので。
(聞き手・斉藤梨佳)
![]() 監督=狩山俊輔
脚本=岡田惠和 原作=「メタモルフォーゼの縁側」(鶴谷香央理) 出演=芦田愛菜、宮本信子、高橋恭平ほか
1996年生まれ。埼玉県出身。雑誌の挿絵などで活躍。静岡県警職員募集のパンフレットやポスターのイラストも手がけた。
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