読んでたのしい、当たってうれしい。

瀬尾まなほさん

京都祇園あのん本店 あんぽーね〈粒あん〉

 数年前に女性誌に食べ物の連載をしている時、地元の京都で和菓子を探していて見つけたんです。最中(もなか)の皮に、あんとクリームを好みでサンドして食べます。

 あんは北海道・十勝産の小豆を炊きあげた粒あんで、クリームは癖のないマスカルポーネチーズを使った自家製。滋賀のもち米「羽二重糯(はぶたえもち)」を使った皮は、歯切れがよくサックサクです。

 最中はふつうおなかにずっしりくるイメージなんですが、軽くて、優しい感じです。あんを多くしたり、クリームを多めにしたり好みに合わせて調整ができます。和洋の枠を超えた新しい趣のお菓子ですね。

 先生(瀬戸内寂聴)が存命の時、「寂庵(じゃくあん)」(京都市右京区)には各地からいただいた名産品のお菓子がたくさんありました。先生は元々甘い物を食べなかったんですが、私が朝食や夕食代わりにお菓子ばかり食べていたんで、「そんなにおいしいの?」って。先生も晩年は甘い物を食べていましたね。

 製造している「あのん」さんは、創業半世紀余り。経営陣のご兄弟が30代なので若い感覚で商品をつくっていらっしゃるのだと思います。「ザ・京都」という重々しい感じがないので、若い方への贈りものにも喜ばれると思います。

(聞き手・阿部毅)

 せお・まなほ 1988年、兵庫県生まれ。瀬戸内寂聴さんが2021年11月に亡くなるまで10年間、秘書やスタッフを務めた。著作に「おちゃめに100歳!寂聴さん」や「寂聴先生、ありがとう。」など。4歳と2歳の2児の母。執筆や講演活動をおこなっている。

 ◆京都市東山区清本町368の2(電話075・551・8205)。あんぽーね(粒あん)5個入り1836円(税込み)。正午~[後]5時半(ラストオーダーは5時。物販は6時まで)。[火]休み。

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