秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
こちらをふて腐れた表情で見つめる若き女子フィギュアスケーターのポスター。フィギュア界のクリーンなイメージを覆すもので衝撃でした。ストーリーも衝撃の連続。忘れられない作品です。
アメリカ人初、女子選手としては史上2人目のトリプルアクセルを成功させ、二度のオリンピック代表選手となったトーニャ・ハーディングの半生をつづった映画。一人の女性のただならぬ強さと心の奥に秘めた弱さが見事に描かれています。
トーニャは強烈なキャラクターの2人から多大な影響を受けるんです。1人は彼女の生まれ持った才能を見いだしてスケーターへの道をつくった母親。厳しくも優しい母親かと思いきや、彼女への接し方があまりにひどい。暴力、暴言は日常茶飯事。しつけとは言いがたい様に心が締め付けられる思いがしましたが、これが不思議と彼女の心を強くしていく。もう1人は二面性を持つ元夫。母親から得られなかった温かな愛情を与えてくれると期待して結婚したのに、束縛と暴力でトーニャを苦しめる。さらには、フィギュア界に衝撃を与える事件まで起こすあり様。この一件でスケーターとしての人生が剥奪されることになったトーニャは泣きながら訴えるんです。これまで強気で生きてきた姿勢がもろくも崩れた瞬間で、グッとこみ上げてくるものがありました。
トーニャの半生を振り返ると、育った環境、人生の選択がいかに大事か思い知らされます。彼女は理想の幸せを得られなかった。けれども、その渇望が栄光を勝ち取ったんです。それはそれで幸せだったのかもしれません。
(聞き手・陣代雅子)
監督=クレイグ・ギレスピー
製作=米
出演=マーゴット・ロビー、アリソン・ジャネイ、セバスチャン・スタンほか イガリシノブ
雑誌、広告などのヘアメイクを手がけるほか、メイク講師としても活動する。コスメブランド「WHOMEE」「BABYMEE」をプロデュース。 |