小林三四郎さん(映画製作・配給会社代表)
「静かなる男」(1952年) 自分で見極めて感じた、いい作品
「静かなる男」(1952年) 自分で見極めて感じた、いい作品
今でも年に1回ぐらい見たくなる映画の一本。冒頭から独特の世界観を確立しているのがすばらしいです。
中学生を最後の1人になるまで戦わせて統制する「バトル・ロワイアル法」の誕生が文字で説明されると、突然ヘリが無人島の上空に現れるシーンに。マスコミが群がる中、生き残った女子生徒がニヤリと笑う。もう、怖すぎるやろ。
まもなく、主人公たちが修学旅行のバスではしゃぐ場面になったかと思うと、眠らされてゲームの舞台に送り込まれ、首に爆発装置が。先生が明らかに危険な転校生を淡々と紹介した後、動揺する生徒に残酷なルールをビデオで見せます。先生が楽しそうに相づちを打つのが不気味過ぎて。
テンポ良く場面を転換しながら、状況や鍵となる人物はもれなく説明されている。100点満点のオープニングですよ。
10代の頃ビデオで見ました。センセーショナルな内容ですよね。乾いていてフィルム映画のような雰囲気。うそすぎるけど変なリアリティーがあるというか。
イラストは、柴咲コウさん演じる相馬光子が鎌を持って戦うシーン。柴咲さんのファンなんですよね。生きるか死ぬかの崖っぷちなのに、身だしなみを整えたりして冷静で冷酷。女子の中で一番のダークヒロインです。
そういえば、ハラハラドキドキしながら自分が主人公だったらと、シミュレーションばかりしていました。戦うのは無理! 禁止エリアを避けながら森の中に隠れます。
(聞き手・増田裕子)
監督=深作欣二 脚本=深作健太 原作=高見広春 出演=藤原竜也、前田亜季、ビートたけし、山本太郎ほか
なかたに 2011年に阪本とマユリカ結成。「M―1グランプリ2024」決勝進出。ラジオ関西ポッドキャスト「マユリカのうなげろりん!!」に出演。 |