ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
まいた種から世界が開くように
1978年の開館以来、「ミレーの美術館」として親しまれている山梨県立美術館。開館時からの目玉、ジャン=フランソワ・ミレー(1814~75)の「種をまく人」をはじめ、バルビゾン派の作品や地元ゆかりの作品を数多く展示している。
開館40周年を記念し、2018年にキャッチコピー「種をまく 世界がひらく」とともに、「種をまく人」をモチーフにしたロゴが制作された。広告制作会社のサン・アドに依頼して作られたロゴは、右足を大きく踏み出し、力強く腕を振って種をまく人物が描かれている。
「種をまくと、やがて芽が出て花が咲き、実を結びます。当館を訪れる一人ひとりの世界が開きますようにとの思いを込めました」と学芸幹の井澤英理子さん。表情がはっきり描かれていない分、「誰もが自分の姿を投影できるのでは」と話す。
開館当時、山梨の公立美術館が世界的な名作を購入したというニュースは、驚きをもって受け止められた。現在、ミレー作品は70点を所蔵。「ミレーの美術館」は、今も街の誇りだ。
◆山梨県立美術館 甲府市貢川1の4の27(問い合わせは055・228・3322)。(前)9時~(後)5時(入館は30分前まで)。(祝)を除く(月)、(祝)翌日((日)の場合は開館)、年末年始休み。臨時休館あり。