ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
「入り口」はポップに 表現した盆と栽
盆栽園が集まる「大宮盆栽村」近くに、2010年に開館したさいたま市大宮盆栽美術館。「限られた人の趣味だと思っていたが、現地を訪れて印象が変わりました」とロゴを制作した丹青社のデザイナー・高橋賢治さん。マニアックな美の世界に引かれ、若い世代や外国人に人気が広がっていると聞きさらに驚いた。
提案した30ものデザインから採用されたのは盆栽の葉の輪郭をシンプルにかたどったポップな意匠。盆栽と接点の無かった人たちへの「入り口」になれば、と生み出したものだ。入れ物(盆)と植物(栽)がそろってこそ盆栽、という様式はしっかり踏襲。学術的研究に取り組みながら観光名所に、そして地元の産業を後押し、という館のめざす三つの柱もイメージに込めた。
コロナ禍をきっかけに、館はオンラインを活用した初心者向けの講座やワークショップを始めた。「館内の一室が配信スタジオになりました」とリモート取材に応じてくれた学芸員の田口文哉さん。画面越しの背景に、盆栽ロゴが並んでいた。
◆さいたま市大宮盆栽美術館 さいたま市北区土呂町2の24の3(問い合わせは048・780・2091)。午前9時~午後4時半(11月~2月は4時まで。入館は30分前まで)。(祝)を除く(木)、年末年始休み。