ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
切り裂く稲妻 画業と重ねて
先がとがり鋭く走る線。山の輪郭にも見える。
江戸後期の浮世絵師・葛飾北斎(1760~1849)は、現在の東京都墨田区に生まれた。90年近い生涯のほとんどを過ごした同所に2016年開館したすみだ北斎美術館は、北斎とその一門の作品など約1900点を所蔵する。
ロゴマークは、2009年度の公募で国内外から集まった1634点から選ばれたデザイナー高瀬清二さんの図案が原案。
北斎の代表作「冨嶽三十六景 山下白雨」で、富士山の裾野を覆う真っ黒な雨雲を切り裂くように描かれた稲妻をモチーフにしている。シャープで力強い稲妻の形、そんな天候にもかかわらず悠然とそびえ立つ富士山が、挑戦的な画業を貫いた北斎の姿と重なったという。
武蔵野美術大名誉教授で、昨年8月に亡くなった勝井三雄さんが形を整え、フォントをデザインした。メインカラーの墨色は、版画の骨格をなす色。鮮やかな色を引き立てつつ、自らの存在感も打ち出している。
◆すみだ北斎美術館 東京都墨田区亀沢2の7の2(問い合わせは03・6658・8936)。午前9時半~午後5時半(入館は30分前まで)。4月5日まで「北斎師弟対決!」を開催。原則(月)休み、19日まで臨時休館中。