水戸元祖 天狗納豆@水戸
茨城といえば納豆というイメージをつくったのが水戸の「天狗(てんぐ)納豆」。
1924(大正13)年創業の河野テーラーは、競馬の騎手が着る「勝負服」を手がける。福島競馬場が近い工房は、3代目河野正典さん(45)の祖父が、乗馬用ズボンを作る傍ら、勝負服を作ったことから始まった。2代目は元騎手で、引退後に会社を継ぎ、勝負服に特化させた。
勝負服は、馬主が所有する馬を遠くから見分けるもの。日本中央競馬会の場合、色柄の規定が厳しく、馬主につき一つの登録で、似たものは作れない。一方、地方競馬は騎手によるデザインも可能で、赤地に白のハート柄を注文した女性騎手もいたという。
現在の職人は3代目を含む3人。多くの人の手が入ると縁起が悪いという信念から、全ての工程を1人で担う。1人で1日2、3着を仕上げ、年間約1千着を生産。全国の半分のシェアを誇る。
急な注文もあるが、断ったことはない。東日本大震災時に風評被害を受け、注文が激減した時、各地の関係者が支えてくれた。「誰かが困っている時に助けることで、恩返しがしたい」と河野さんはほほえんだ。
(文・写真 吉田愛)
◆福島市桜木町2の3(TEL024・534・2245)。午前9時~午後5時。(日)休み。福島駅からバス。