水戸元祖 天狗納豆@水戸
茨城といえば納豆というイメージをつくったのが水戸の「天狗(てんぐ)納豆」。
東京・大森は江戸時代、幕府から許可を得た、養殖ノリの一大生産地だった。ここから全国へ養殖の技術が広まり、今でも約50軒のノリ問屋が並ぶ。守半海苔店はその一つ。「仕入れから、火入れ、缶詰めまで一貫して行う数少ない店です」と4代目の小谷千砂子さん(45)は言う。
創業は明治34(1901)年。初代の守屋初重さんが「焼きノリ」を保存のためお茶の缶に詰めて、販売し始めたという。1963年、東京湾の埋め立てで養殖ノリの生産が終了。その後、全国各地を回り佐賀県有明海産にたどり着く。やわらかさと口どけのよさにほれこんだ。
4年前、3代目の父・清太郎さん(77)が病に倒れた。「主婦だった私が、まさか実家の店を継ぐことになるとは」と当時を振り返る。
毎年1月に競り落とすノリは、冷たい海で育つため味が凝縮する。「火入れ」は店の地下で、焙炉(ほいろ)という乾燥棚を使い、2日半かけて電熱で水分を飛ばす。小谷さんは幅広いニーズに応えるため「今後は各産地のノリを置きたい」と話す。
(文・写真 石井広子)
◆東京都大田区大森北1の29の3(TEL03・3761・4077)。午前10時~午後7時((土)は6時、(祝)は5時まで)。(日)休み。大森駅。