水戸元祖 天狗納豆@水戸
茨城といえば納豆というイメージをつくったのが水戸の「天狗(てんぐ)納豆」。
東京・大森の旧東海道沿いに店を構える和菓子屋「餅甚」。現在の静岡県中部にあたる駿河国から来た初代が、1716(享保元)年に茶店として創業した。明治時代に茶店から和菓子屋に。看板商品は、創業時から作り続ける「あべ川餅」だ。
静岡市の安倍川近くが発祥地とされる「安倍川もち」。江戸時代には、街道を往来する旅人のために府中宿の茶店などで出されていた。静岡名物として知られる安倍川もちは、きな粉をまぶすか、あんを絡めるのが一般的だが、餅甚では黒蜜ときな粉で食べる。
その日の朝ついた餅は翌日でも軟らかい。その理由は「つく回数を多くしているからね」と10代目の福本義一さん(73)。毎日、一口大の平たい丸餅を1500~2千個作る。秘伝の黒蜜は、今は、息子で11代目の義孝さん(39)が味を守っている。
周辺はかつてノリ養殖で栄え、生産者も「網にノリがたくさんつくように」と縁起を担いで食べたという。義一さんは「地域と共に歩んできた。今後も地道に続けていきたいね」。
(文・写真 牧野祥)
◆東京都大田区大森東1の4の3(TEL03・3761・6196)。午前8時半~午後7時。(火)休み。平和島駅。