水戸元祖 天狗納豆@水戸
茨城といえば納豆というイメージをつくったのが水戸の「天狗(てんぐ)納豆」。
東海道第一宿の品川宿。江戸時代と同じ道幅約7メートルの旧街道沿い、公園になっている本陣跡近くに、幕末の1865年創業の「丸屋履物店」はある。5代目の榎本準一さん(70)が子どものころは、料理屋や宿、映画館が並び宿場町のにぎわいが残っていた。
10軒近くあった下駄屋も今は「丸屋」だけだ。店先には下駄がつるされ、中には草履、鼻緒が所狭しと並ぶ。奥には、金づちや鼻緒を通す道具を使って下駄や草履に鼻緒をつける「すげ」の作業場。
先代の父親が急死し、19歳で店を継いだ。本当はプロのサックス奏者になりたかった。「父のようにはできやしなかったが、代々のひいき客は『お前がうまくなるまでよその下駄は履かないよ』と言ってくれた」。できるようになるまで10年かかった。
「下駄や草履っていうのは、合ったすげ方で正しく歩けば、足が痛くならないんだよ」。この技を求めて日本各地から客が訪れる。下駄に慣れていない人には店頭で歩き方も教えている。「本当の良さを知って欲しいからね」
(文・写真 土田ゆかり)
街の歴史とともに歩んできた老舗や職人の仕事をご紹介します。
◆東京都品川区北品川2の3の7(TEL03・3471・3964)。午前9時~午後7時。日曜定休。新馬場駅。