埋没林とは、火山の噴火や川の氾濫などで森林全体が土中に埋まったもの。魚津では1930年、港の改修工事中に地下60~110センチから200株近い樹根が発見されました。地元では以前から砂浜に切り株のようなものがあるのは知られていましたが、これを機に魚津埋没林が注目され研究が始まりました。
52年に見つかった3株の樹根を、発見時の状態そのままに展示しているのが当館の水中展示です。この中で一番大きな樹根は樹齢約500年、根の端から端まで約10メートル。発見場所から動かすことなく8×16メートルの範囲を壁で囲み、水温13~15度の地下水で満たしています。
一帯からは樹根のほか花粉や種子、昆虫や土器の破片などが見つかっていて、約2千年前には海の近くに杉の巨木や広葉樹が生い茂る原生林が広がっていたことがわかります。
海水面の上昇により地下水面も高くなり原生林は次第に衰退、根は泥炭層に埋まり、その上に片貝川が運んだ砂礫層が堆積して埋没林となりました。根が腐らなかったのは北アルプスからの豊富な地下水のおかげだと考えられます。
2015年に館の敷地内からこれまで知られていた年代より古い約3千年前の埋没林が確認されました。年代の違う埋没林どうしに連続性があるのかなどは未解明です。ほかにも埋没林生成に富山湾周辺の環境変化が影響した可能性など、魚津埋没林の調査研究は現在も続いています。
(聞き手・三品智子)
《魚津埋没林博物館》 富山県魚津市釈迦堂814(問い合わせは0765・22・1049)。午前9時~午後5時(入館は30分前まで)。640円。12月1日~3月15日の原則(木)、年末年始休み。
学芸員 打越山詩子 うちこしやま・うたこ 2011年~18年学芸員、21年4月に再び着任。埋没林周辺の地層や土の中の微生物などから環境変化の調査を行う。 |