秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
潜航艇ごとミクロになった医療チームが、人間の体の中を冒険する話です。小学校入学前くらいにテレビ放映で見ました。もともと解剖図が好きな子どもでしたが、小さいころって、見るもの触れるもの全てが未知。映画の世界と一体化してハラハラドキドキし通しでしたね。
登場する潜航艇って、つくりがガラス張りで華奢(きゃしゃ)なんですよね。もうちょっと鉄で覆ってくれれば安心感があるのに、ほぼむき出しの状態。窓越しにどこからも気持ち悪いものが見えて、逃げ場がない。ラクエル・ウェルチ演じるコーラが、抗体にぐるぐる巻きつかれる場面も怖かったですね。見終わってしばらくは、「自分がもし小さくなったら」ってことばかり妄想していました。
映画を見ていて、妄想が勝手に暴走することは今でもよくあるんです。「あ、この先、俺ならこうするな」と、映画をいったん止めて、妄想を漫画のネタにする。脳内で映像化されちゃって、映画を見た気分になっちゃう。後で見直すと全然違う話なこともあるんですけどね。
ホラー漫画家なのに、実は、残酷なホラー映画が苦手なんです。血や内臓や虫が大っ嫌いで、恐怖症です。でも、自分の漫画ではすごく描くんですよ。セラピーというか、苦手なものを征服した気になるのか……。ただ、グロテスクなものを描くときには、なるべく汚くならないように、絵からにおいを感じさせないようにしています。「ミクロの決死圏」のイラストは、司令塔にある解剖図と、潜航艇、赤血球などを、サイケデリックな色彩で描いてみました。
(聞き手・宮嶋麻里子)
監督=リチャード・フライシャー
製作国=米
出演=スティーブン・ボイド、ラクエル・ウェルチ、ドナルド・プレザンスほか のろい・みちる
別名義でデビュー後、1998年にホラー漫画家に転向。今年、フランスの出版社BLACK BOXから新編集の単行本2冊を発売した。 |