らせん折り①
台形の紙を折ってみたら……。折り紙から、思いがけない「贈り物」。
戦後、既成の概念にとらわれずに革新的な表現を試みる前衛美術が発展した。今展では、半世紀にわたり現代美術を扱うギャラリーで活動した画商の浅川邦夫さん(92)が収集した作品から、前衛に焦点をあてて紹介する。
菊畑茂久馬(きくはたもくま)(1935~2020)は、反芸術を掲げた福岡のグループ「九州派」で活躍するなど、前衛美術を牽引(けんいん)した存在。生活用品を円形の板に取り付けるなどした「ルーレット」シリーズは1964年、浅川さんが勤めていた東京・日本橋の南画廊で発表された。
中でも本作は、新築したばかりの浅川さんの自宅で制作された。盤面に貼り付けたのは、自宅にあったボールやおたまなどだという。「浅川さんはこの作品に深い愛着があるようだ」と、特任学芸員の大野俊治さんは話す。
浅川さんは近年、本作についてこう語ったという。「いつまでも新鮮だね。菊畑は天才だ」