新訂万国全図 東半球・西半球(写)
日本が中央に。江戸の最先端世界地図。
15~16世紀にかけて、南米で栄えたインカ帝国。高度な農耕、土木技術を持ち、空中都市と呼ばれるマチュピチュのような高地でも、灌漑用水路や段々畑を活用して農業を営んでいた。
そうした用水路から水をくんで運んだり、農作物で造った酒を保存したりしていたのが、写真のような土器。両脇の取っ手にひもをかけて背負い、とがった底部を地面に突き刺して貯蔵していたようだ。
意匠はインカに多く見られる幾何学文様で、顔料にベンガラを用い、素焼きしている。中心の飾りはリャマがモチーフ。当時、人力で奉仕することが神への畏敬を示すと考えられ、車輪は発達せず、大型家畜は存在しなかった。資材運搬に使われた代表的な動物がリャマ。学芸員の松本庸子さんは「リャマは身近な動物で親しみがあったのでしょう。土器にも飾りをつけて楽しんだようです」と話す。