青梅街道沿いに面したシルバーに輝く建物は、いくつものパーツが寄り添うように立つ。壁の一部は斜めになっている?
東京都小平市のほぼ中央にある「なかまちテラス」は、仲町図書館建て替えに伴い仲町公民館との複合施設として建設された。
1階はそれぞれ「離れ」のように独立した四つのユニットに分かれる。エントランスホールなど三つの四角形が連結した中心部、二つの学習室、台形が二つ連結したカフェラウンジ。これらが2、3階ではすべてつながってワンフロアになっている。垂直方向を見ると、外壁の一部は上に向かって内側に傾斜している。
設計したのは妹島和世建築設計事務所。公募型プロポーザルに応募した35社から選ばれた。こうした形にした理由を妹島さんは、「(公民館で行われる)陶芸や料理会など、玄関から部屋に行くよりも、思い思いに直接部屋に入る方が楽しいと思った」と説明する。また、互いに寄り添うように立つ建物の形が、やわらかく周りに溶け込むようにとの願いも込めた。
交通量の多い通りから路地に入れば住宅や畑が混在し、用水も流れる。そんな町から敷地へ地続きで自然に導かれ、ユニットの間の通路からガラス越しにカフェや学習室の様子がうかがえる。「人と情報の出会いの場」という建築時のコンセプト通り、「いろんな方向からいろんな目的で人が集まるように工夫がされている」と図書館の小山誠館長は話す。
外壁の全体を覆うのは、網目状に成形されたアルミの「エキスパンドメタル」。室内からは外が見え、光を柔らかく取り入れられる一方、外からの視線は適度にさえぎられる。
通路や壁の思わぬところが斜めにせり出すため、開館当初は、壁やガラスが邪魔になったという声もあった。開館から8年経った今、公民館の中村和幸館長は「地域に根ざした存在になった」と感じているという。
(千葉菜々、写真も)
DATA 設計:妹島和世建築設計事務所 |
1階にあるCAZE CAFÉ なかまち(問い合わせは、070・3244・5931)ではドリンク(300円~)やランチ(650円~)などが楽しめる。小平市にある共同作業所「あさやけ第二作業所」が運営している。図書館の本を持ち込むこともできる。午前10時~午後4時、(土)(日)(祝)は11時から。(金)と第3(木)休み。
CAZE CAFÉ なかまち 公式サイト
http://www.asayake.or.jp/cazecafe_nakamachi.html