ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
まんまる 愛らしい お人形さん
丸描いておめめが一つ、長いお髪を黒く塗り、着物は赤でおめかしを……。
絵描き歌になりそうな簡潔なデザインは、2020年2月に開館したさいたま市岩槻人形博物館のシンボルマークだ。
館がある同市岩槻区は日本人形の一大産地として知られる。
人形作りの技や、人形の美と歴史の発信を目的とする同館は、公立では国内初の人形専門館。
人形玩具研究で知られた日本画家・西沢笛畝(1889~1965)の寄贈品を中心に日本人形や国内外の郷土人形約5千点を所蔵する。
マークとロゴを考案したデザイン事務所STGKの伊藤祐基さんは、「シンプルでありながらも日本らしい印象を心がけた」と振り返る。誰が見ても人形とわかり、しかも美しい形を円弧という単純な線で表現するのに苦心したという。
話し合いを重ねたのは、顔の部分。先入観を強く与えすぎないよう、笑った表情は避けた。目のない顔の案もあったが、人形の魅力の「愛らしさ」を重視した結果、現在の形に。
そのかいあって学芸員の菅原千華さんによると「他館からもかわいいと言われる」そうだ。
◆さいたま市岩槻人形博物館 さいたま市岩槻区本町6の1の1(問い合わせは048・749・0222)。午前9時~午後5時(入館は30分前まで)。(祝)(休)を除く(月)、年末年始休み。