ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
ものづくりの尊さ 1本の線に
東京から金沢に移転、10月に開館した東京国立近代美術館工芸館(通称・国立工芸館)。ロゴタイプとシンボルマークの制作を担当したUMA/design farm代表の原田祐馬さんは、「工」の字に着目した。線が3本のシンプルさ。古代から変わらない稀有(けう)な文字。さらに文化人類学者・竹村真一氏の、天と地を結びつける人の営みを表していたという記述に感銘を受けた。
そこで、2本の横線をつなぐ中央の縦線の上下の端をわずかにふくらませ、人の営みに常に関わる「重力」が感じられる形にした。削る、磨くといった反復動作や繰り返しの末に作者の意思が形となった工芸作品と深く向き合い、人が物をつくる尊さへの思いを込めた。
シンボルマークは、この字の白黒を反転させたイメージだ。いずれも明治期、金沢に建てられた二つの旧陸軍施設を移築、渡り廊下でつないだ館の外観も想起させる。主任研究員の花井久穂さんは「ロゴとともに工芸の街の新しいランドマークとして親しんでほしい」。
◆国立工芸館(東京国立近代美術館工芸館) 金沢市出羽町3の2。午前9時半~午後5時半(入館は30分前まで)。原則月曜、年末年始休み。問い合わせは050・5541・8600。