ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
マークに隠された 繊細な日本画
縦横の線が織りなす格子文様。実は二つの言葉が隠れている。山種美術館の所蔵品約1800点の中心である「日本画」と「YAMATANE」だ。
開館50周年にあたって新たなシンボルマーク制作を担当したグラフィックデザイナーの佐藤卓さんは「西洋的な強い主張を感じるものではなく、日本画のような繊細さを」とイメージしたという。縦書きの「日本画」は横線を長く、横書きの「YAMATANE」は縦線を長く、外形が円になるように引き伸ばし、重ね合わせた。「日本画が、西洋的、現代的な要素を柔軟に受け入れながら発展する様子を示しました」
マークと並ぶ館名は、日本画家・安田靫彦が2代目館長の依頼で揮毫し、看板に使われてきた筆文字だ。3代目館長の山崎妙子さんは「抽象的なマークと具象的な書が調和して、落ち着いたデザインに見える」と話す。
色は館とのゆかりも深い東山魁夷が好んだ群青。実際に制作に使った岩絵の具を遺族から借りて見本とし、色を選んだという。
◆山種美術館 東京都渋谷区広尾3の12の36。午前10時~午後4時[(土)(日)(祝)(休)は5時まで。入館は30分前まで]。(月)[(祝)(休)の場合は翌日]、展示替え期間、年末年始休み。問い合わせは050・5541・8600。