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玉川太福さん
万代シテイバスセンターのカレー

 寄席の新宿末広亭の一月下席でトリを務めました。浪曲師が寄席のトリをとるのは60年以上ぶり。長く応援してくれるお客様に「おめでとう、そして、ありがとう」と言葉をいただいた。浪曲が久方ぶりに広くお目通りできて、みんなで喜び合いました。
 
 新潟市生まれで大学進学を機に関東へ。放送作家をめざしたけれど、縁あって浪曲に飛び込みました。東京で暮らし始めて愛着がわき出したのが、新潟駅近くの万代シテイバスセンターにある「万代そば」のカレーです。高校時代は通学路の途中にあったし身近な存在でした。でも「食べたい」と強烈な思いに駆られるようになったのは地元を離れてからですね。
 
 豚肉、タマネギ、ニンジンを豚骨スープで煮込んだ結構辛めの味わい。私は毎食カレーでいいほどカレーが好きですが、はやりのスパイス系と全然違うし、これまで食べた中で一番うまいわけでもないけれど、唯一無二なんです。
 
 新潟で公演があったら出来るだけ立ち寄ります。東京でも食べたくてテイクアウトし、車内ににおいがもれないようにポリ袋で何重にも覆い、さらに保温バッグに入れて持ち帰ったこともあります。レトルトができて、そこまで頑張らなくてもよくなりました。
(聞き手・桝井政則)

 ◆レトルトは696円。新潟交通商事のホームページ(https://niigatamiyage.com/)で購入可。万代そば(新潟市中央区万代1の6の1、午前8時~午後7時)のカレーライスは普通サイズ580円。  


 たまがわ・だいふく 浪曲師。1979年生まれ。2007年に二代目玉川福太郎に入門。忠臣蔵などの古典に取り組む傍ら、映画「男はつらいよ」全編を浪曲にする試みを進める。にいがた観光特使。著書に「玉川太福 私浪曲 唸る身辺雑記」(竹書房)。 

姉弟子の玉川奈々福さんの連載コラム「ななふく浪曲旅日記」で太福さんの主任興行を詳報
https://www.asahi-mullion.com/column/article/roukyoku/6376

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