清水晃 漂流物、竹ひご、木ほか 47.0×204.0×43.0センチ 1993年 足利市立美術館蔵
黒色と金属の硬質なオブジェは、魚のようにも見える。近づいて見ると、素材の多くは釣り道具、うき、イワシの缶詰、カキの殻など海にまつわるもの。「海のそばで育った作者の原風景が表れている」と、特任学芸員の大野俊治さんは説明する。
作者の清水晃は1936年、富山市生まれ。多くの前衛表現が集まった展覧会「読売アンデパンダン展」で62年にデビューし、「反芸術」の作家として活躍。「漆黒から」と題したオブジェや素描を千点以上制作してきた。
本作は画商の浅川邦夫さん(92)が収集して、足利市立美術館に寄贈したコレクション。2人の交流は長く、浅川さんが68年から2003年に経営していた画廊春秋(東京)で清水は個展を重ねた。
浅川さんは「まだ何ぞ僕らの知らない種類の作品がつくられているのだろう」というコメントを会場に寄せている。
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