読んでたのしい、当たってうれしい。

なとみみわさん
三日月Bakery 醤油キャラメルナッツ

 18歳で石川県能登町から一人で上京しました。2023年、53歳の時にケアハウスにいる実母を引き取り、一緒に実家で暮らそうとUターンを決意。準備していたところ、昨年の元日に能登半島地震が起こりました。実家の倒壊は免れましたが、今は金沢市近辺で息子と二人で暮らしています。
 「三日月Bakery」は23年10月に開店した小さなパン屋さん。店主が30種類ものパンを一人で作っています。地震後の2月に能登町へ入った時、既に営業を再開していました。ボランティアの方々が買い求め、うれしそうに頰張っていた姿が忘れられません。私は能登町へ行く度に三日月さんに立ち寄るのが楽しみ。お気に入りは地元の高田醤油を使っている「醤油キャラメルナッツ」です。甘じょっぱいナッツ部分がいいんです。ちょっと甘い醤油は地元の家庭では定番。高田醤油は工場が全壊し、醤油造りを停止していましたが、今は少量生産で復活しています。「酒粕食パン」もおすすめ。同じ町の数馬酒造の酒粕が練り込まれ、しっとりもちもちです。
 パンを食べる時も「自分は何ができるのか」と考える日々が続いています。イラストレーターとして能登のリアルな今を漫画で発信し、できることを続けるのが大事だと感じています。

(聞き手・丸山実木)

 ◆石川県能登町崎山3の6(☎0768・62・4555)。醤油キャラメルナッツ1個330円、酒粕食パン480円。午前10時~午後6時(完売次第閉店)、月曜と木曜は休み。

 


  イラストレーター、漫画家。1970年生まれ。石川県能登町出身。代表作は義母の介護経験を描いた「ばあさんとの愛しき日々」(イースト・プレス)。能登半島の被災地のリアルな今をつづる漫画「のとはやさしや」を北國新聞で連載中。

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