「中華そば紅蘭(こう・らん)」の中華そば 「ふるさとの思い出の味を食べたい。一緒に行く?」。5年ほど前にコンサートで山口県を訪れたとき、山口出身のマネジャー・山本さんがそう言って、連れて行ってくれました。
かれこれ20年近く埼玉・浦和に住んでいますが、「白鷺宝(はくろほう)」という地元銘菓があることを長年知らなかった。知人へのお返しを探していた5年前に初めて知り、贈ってみたらとても喜んでくれて。それ以来、手土産とか贈り物とか「何かの時」はこれと決めています。
卵を加えた白餡がミルクでコーティングされたちっちゃな和菓子です。薄紙にふんわり包まれています。1粒を大切に味わうのが僕なりの楽しみ方ですが、結局2口で食べ終えてしまう。でも程よいなとも思います。甘いものって、そんなにいっぱい食べるとあれじゃない?
2009年ごろにインターネットでたまたま回文を見つけ、その面白さに引き込まれました。短歌でも俳句でも、ある文字数で表現するがゆえに自由になれる。回文は、そのだいぶひねくれた版で。だからこそジャンプしたような表現にも出会える。ただ、回文は存在自体をあまり知られていないので、今日は「グッとグルメ」をお題に二つ回文を考えてきました。
「読めるグルメよ!(よめるぐるめよ)」。日常会話なら何のことやらですが、新聞のグルメ欄なので意味が通じるんです。「皆は笑う春は浦和花見(みなはわらうはるはうらわはなみ)」。こちらは少しひねって、お店にちなんでみました。
(聞き手・島貫柚子)
◆大正元年に浦和で創業。法人名は「浦和花見」。現在の本店は、さいたま市桜区町谷1の20の17(☎048・711・4010)。12個入り1707円(白鷺宝=写真中央=6個、他6種を各1個) 菓匠花見
こじやじこ 回文家。1977年生まれ、沖縄県出身。会社勤めのかたわら、2009年ごろから回文を作り始める。回文絵本「まくらからくま」(岩崎書店)、「よるよ」(偕成社)などを出版。 X(@cozyar_kaibun)
回文はジャンプする
https://www.asahi-mullion.com/column/article/ggourmet/6172