読んでたのしい、当たってうれしい。

押尾コータロー
菜々人 一銭洋食焼菜々人風

 メジャーデビューする前に、イベントに参加したのがきっかけで20年以上通っています。ご家族でやっている創作料理屋さんで、とにかくマスターのおっちゃんがいい人。飾り気がなくて、その場でパパッとおいしいものを作ってくれる。そんなおっちゃんがカッコよくて、出会ってから、僕の音楽もそうでありたいとずっと思ってきました。大体はカウンターでしゃべりながら食べています。遠方から来たアーティスト仲間や僕のラジオ番組に出てくれたゲストは、「おっちゃんに紹介したい!」と思って連れて行くんですよ。
 お店でいつも頼むのが、この一銭洋食焼。子供の頃におやつで食べていた一銭洋食とは違ってとにかく大きく、キャベツと卵、コンニャク、エビ、紅ショウガ、肉など具だくさん。お好み焼きとはちょっと違う、どこか懐かしい味がすっかり好きになってしまいました。締めに食べる「ごま油のおにぎり」も絶品です。
 デビュー23年目を迎えました。若い頃はギターのテクニックを聴かせるのに必死でしたが、今は演奏に緩急をつけられるようになって、人の心にグッと近づけている気がします。一口食べると笑顔になって、食べ終わった後には幸せな気持ちになれる。僕もそんな音楽を作っていきたいな。(聞き手・大和田真理子

 

 

 ◆大阪市中央区平野町2の2の6、平野町小路(☎06・6228・5766)。一銭洋食焼 菜々人風は1800円。午後6時~11時。土日祝休み。

 

 おしお・こーたろー アコースティックギタリスト。1968年大阪府生まれ。オープンチューニングやタッピング奏法などを駆使した独自のギターサウンドで、国内外から高い評価を集める。

(2024年9月5日付け朝日新聞夕刊記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

グッとグルメの新着記事

新着コラム