「中華そば紅蘭(こう・らん)」の中華そば 「ふるさとの思い出の味を食べたい。一緒に行く?」。5年ほど前にコンサートで山口県を訪れたとき、山口出身のマネジャー・山本さんがそう言って、連れて行ってくれました。
ここのお弁当は味つけが濃ゆいんです。江戸時代に肉体労働者がパッとカロリーをとれるスタイルとして濃い味が好まれたからだと言われていますが、舞台も体力を使うのでこの味つけがちょうどいい。最初は味にびっくりすると思いますが、だんだんやみつきになってきますよ。
毎回公演初日のお弁当はこれと決めています。時間がなくて全部食べることができないときは、野菜の甘煮に入っているお麩と、お赤飯を食べていきます。残りは後からゆっくり食べます。めかじきの照り焼きはやわらかいし、玉子焼きも本当にホワホワ。豆きんとんは、甘くて疲れた心や体に染み渡ります。
弁松さんとはラジオ番組の企画で出会いました。お弁当をいただいて「おいしい」と伝えたら、「本当に? 口に合うわけないじゃん」って疑われて面白かったのが第一印象。それから利用させていただくようになりました。おかみさんが着られていた着物を頂戴したり、非常にかわいがってもらっています。
お弁当の折り箱は木で出来ているんです。だから開けた時の香りがすごく豊か。一つ一つ丁寧に心を込めて作っていることが見ても食べても感じられます。ぜひ皆様も、このお弁当で江戸時代にタイムトリップしていただきたいです。
(聞き手・中山幸穂)
◆東京都中央区日本橋室町1の10の7(☎03・3279・2361)。1512円。受け取り3日前までに要予約。午前9時半~午後3時(土日祝は0時半まで)。無休。
みながわ・るるこ 舞台俳優・歌手。2003年3月、夏目漱石の「こころ」を原作にしたミュージカルでデビュー。リサイタルの開催や和小物作家として作品を制作するなど活動の幅は多岐にわたる。
■ロングインタビューも掲載中
https://www.asahi-mullion.com/column/article/ggourmet/5886