秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
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地元長崎でホステスをしていた頃、仕事帰りにオールナイト上映で見ました。私、映画で怖がらないタチなんですけど、この作品は本当に怖くって。
宇宙船ノストロモ号に侵入した1匹の異星生物(エイリアン)の恐怖を描いた映画。乗組員を犠牲にしてでも異星生物を地球に持ち帰るという邪悪な使命を持った船で、仲間の科学者は、実は乗組員を監視するアンドロイドだったんです。
好きなシーンは、男性乗組員の顔に張り付いていた未知の生物フェイスハガーがはがれた後。一安心してみんなで食事をしていたら、突然おなかを突き破ってエイリアンが出てくるところです。「やれやれ」と「どうしよう」という起伏の変化が残酷ですばらしい。
フェイスハガーは、女性器を模していて、男性が無理やり女性器を顔に押しつけられた恐怖という裏の意味があるんですよ。主人公を演じるシガーニー・ウィーバーがアンドロイドに襲われた場面で口に突っ込まれた雑誌は、実は「平凡パンチ」で……って、オタクですみません。過去の結婚相手に取られちゃいましたけど、等身大のエイリアンの人形を持っていたほど大好きなんです。
私、小さい頃からSFやホラーしか見なかった。SFの魅力は「もしかしたら」のこの世の不思議が提示される喜びにあるんでしょうね。エイリアンはシリーズ化されていますが、この1作目はSF映画の最高傑作だと思います。
聞き手・曽根牧子
監督=リドリー・スコット
製作=米
出演=トム・スケリット、シガーニー・ウィーバー、ジョン・ハートほか うちだ・しゅんぎく
代表作に漫画「南くんの恋人」。小説「ファザーファッカー」で直木賞候補、「キオミ」で芥川賞候補。俳優としても活躍する。 |