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私の描くグッとムービー

池田あきこさん(絵本作家)
「テルマ&ルイーズ」(1991年)

女二人旅 気ままに大胆に

 池田あきこさん(絵本作家)<br>「テルマ・ルイーズ」(1991年)

 

 妹とヨーロッパへ行くと、レンタカーで気ままに走るの。「私たちはテルマとルイーズだ!」って言って。映画の舞台はアメリカだけど、日常を忘れて女だけでドライブする心地よさに共感するわ。

 テルマは横暴な夫から、ルイーズは退屈な日常から解放されて、オープンカーでつかの間の休暇に向かう。でも道中、テルマを襲おうとした男をルイーズが撃ち殺してしまったことから、メキシコへ向けた逃走劇が始まる。

 トラブルばかりの旅の中で、彼女たちが新たな自分を発見していく様子が爽快ね。お金を盗まれたテルマは、スーパーで強盗をして逃走資金を調達。その後も2人は、警官をパトカーのトランクに閉じ込めたり、からかってきた男の乗るタンクローリーを撃って炎上させたり。やりすぎに思えるシーンの連続は、「男になんか負けない」「私たちは何でもできる」という強い気持ちの表れでしょう。

 私の旅でのピンチといえば、イタリアでのこと。バイクに乗った男の子に妹を連れ去られそうになったり、引ったくりにあって大事な画材を奪われたり。困ったことはたくさんあったけど、その度に人に助けられて。旅は苦労した方が印象に残るんだって分かった。

 ラストで追い詰められた2人が取った行動は、あれでいいと思う。「あんたは最高、私も最高」という思いのまま、バカンスを遂げようとしたんじゃないかな。テンションを保ったままの結末が気持ちいいわね。

聞き手・中村和歌菜

 

  監督=リドリー・スコット
   製作=米
   出演=スーザン・サランドン、ジーナ・デイビス、ブラッド・ピットほか
いけだ・あきこ
 代表作に不思議の国「わちふぃーるど」が舞台の絵本「猫のダヤン」シリーズ。「ダヤンの絵描き旅 イタリア」を4月に発売予定。
(2015年2月13日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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