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私の描くグッとムービー

柊あおいさん(漫画家)
「ブルース・ブラザース」(1980年)

パワフルさに新しい文化を感じた

 柊あおいさん(漫画家)「ブルース・ブラザース」(1980年)

 

 テンポの良さ、間の取り方、笑いのセンス。全てが隙なく敷き詰められています。漫画「星の瞳のシルエット」の扉絵のモチーフにしたほど思い入れが深いんです。

 育った孤児院の財政難を救うため、エルウッドと刑務所帰りのジェイクはバンド「ブルース・ブラザース」を再結成し一大ショーを開こうとする。すらっと背の高いエルウッド役のダン・エイクロイドと、丸々としたジェイク役のジョン・ベルーシの組み合わせ、スーツにサングラスという姿からしてコミカルです。

 孤児院助けを「神の使命」と信じて突っ走る2人。謎の女からのバズーカ砲に見舞われてもケロリとしていたり、追ってくるカントリーバンドの車のブレーキを接着剤で固定したり……。数々の障害をノリと知恵で切り抜けていきます。

 レイ・チャールズら有名歌手も出演し、ミュージカル調の場面も見どころ。でもお気に入りはやっぱり、2人がコンサートで初めに歌う「EVERYBODY NEEDS SOMEBODY TO LOVE」。長い手足を使って踊るエイクロイドがまたかっこいいんです。

 終盤のカーチェイスにはとにかく圧倒されます。追いかけてくるパトカーや警官の量のすごいこと。当時日本ではドラマ「西部警察」が話題でしたが、それをはるかに上回る迫力です。現実ではありえない展開も多々あるけれど、それを気にさせないパワーがあり「新しい文化」を感じました。

聞き手・中村和歌菜

 

  監督・共同脚本=ジョン・ランディス
   製作=米
   出演=ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、キャリー・フィッシャーほか
ひいらぎ・あおい
 1962年生まれ。代表作に「星の瞳のシルエット」「耳をすませば」など。月刊誌「ピチレモン」で「桜坂ノスタルジア」を連載中。
(2014年9月26日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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