「マスク」(1994年) ハナコ・秋山寛貴さんのお笑いの原点には、さえない主人公がハイテンションな超人に大変身して大暴れするコメディー映画「マスク」がありました。
今回の映画は、面白いか面白くないかでは選んでいません。でもせっかくなら刺さる人には刺さる、自分にとっての「良い映画」を紹介します。
この映画はアメリカに住んでいる14歳の女の子、スージーが突然近所の男に殺されてしまい、天国とリアルの間の世界で葛藤しながら家族を見守っていくストーリーです。
初めて見たのは高校生くらいの頃でした。映画館で予告編が流れて、その中で「私は14歳で殺された」っていう一文が出てきたのをすごく鮮明に覚えています。子供が殺されてしまう話だし、母親には見るのを反対されたんですけど、私的にはそういう部分は関係なく面白そうだなと思って、後になってDVDを借りて1人で見ました。初めて自主的に見た映画だったと思います。
最終的にお母さんがスージーの部屋にやっと入れるようになるところまでしか描いていなくて、ただの良い話ではないリアルさが刺さりました。最後の方に、自分の死後も家族や初恋の人の「美しい骨」が育っていくという表現が出てきて、それがすごくいいなと思って。ニュアンスは悲しいけれど、すごく希望があるなと思います。
この映画のテイストや雰囲気は、今の自分のイラストの作風にもつながっていると思っています。私はただ可愛いものとかポップなものより、ちょっと怖い物が入っていたりする方がグッと魅力が増すと思っていて。ホラーも昔は苦手だったのですが、今は定期的に見ています。最初は怖さがストレスでしたが、今は快感というか、サウナに入ったみたいな感じですかね。
(聞き手・斉藤梨佳)
監督=ピーター・ジャクソン
製作国=米国など 出演=シアーシャ・ローナン、マーク・ウォールバーグ、スタンリー・トゥッチほか
1993年生まれ。イラストレーター。マガジンハウスGINZAでのウェブ連載「22時の冷蔵庫」の挿絵や、アパレルブランド「KEISUKEYOSHIDA」とのコラボなど幅広く活躍。
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