「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
天気予報士のフィルが同じ1日を何度も繰り返す、いわゆる「タイムリープ」ものです。今から約30年前の作品ですが、主人公が「正解」を見つければループから脱出できるという定番の設定も盛り込まれていて、このジャンルの先駆けと言えるのではないでしょうか。
本作を最初に見たときは、衝撃を受けました。どうしても「2月2日」から抜け出せないことに業を煮やしたフィルが思いあまって自殺しても、何事もなかったかのようにまた同じ日が訪れる。それだけに、彼がついに「正解」を見つけて次の日を迎えることができた最後の1日は、何度見てもスカッとします。
彼は途中でピアノや氷の彫刻を習い始めるのですが、とくに初心者からプロ並みの腕前になったピアノをダンスホールで弾く姿がかっこよかったですね。
描いたのは、フィルが久しぶりに再会した高校の同級生ネッドを出合い頭に笑顔で殴る爆笑シーン。映画のイラストを、と言われてすぐに「ここだ!」と。2人の出会いは6回繰り返されますが、何回目に殴られるのかは見てのお楽しみ(笑)。もしかしたら、何かを乗り越えた大事なシーンかもしれません。フィルを演じるビル・マーレイの表情が読めない「目」の面白さにもこだわりました。
「ゴーストバスターズ」など、数ある彼の主演作の中でも本作が一番好きですが、スパイコメディー「知らなすぎた男」も必見です!
(聞き手・高田倫子)
監督=ハロルド・ライミス
製作国=米 出演=ビル・マーレイ、アンディ・マクダウェル、クリス・エリオットほか
1969年生まれ、札幌市出身。猫を主人公にした漫画作品を多数発表。「ねこねこ日本史」(実業之日本社)の最新14巻が発売中。
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「ねこねこ日本史」実業之日本社HP
https://www.j-n.co.jp/books/serieslist/lseries108/