つめをぬるひとさん(爪作家)
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
原作は諸星大二郎先生の漫画です。沢田研二さん演じる稗田礼二郎という考古学者が、おいっ子の八部まさおとタッグを組んで、封印からとかれた妖怪ヒルコに立ち向かうお話。原作と違って稗田のキャラクターがコミカル。ビビリなんだけど、妖怪を倒すための兵器をたくさん持っていて、ヒルコと「キンチョール」で戦うんですよ。呪術とかではなく、身近なもので妖怪と戦うっていう発想の柔軟性がすごく刺さったんです。
一番好きなのは、2人が校庭で自転車からぶっ倒れるシーン。ヒルコが迫ってきたところに用務員の渡辺さんが現れて銃を撃つ。するとヒルコが転がって段ボールのわなの中に入る。そこのシーンって音楽が無いんですよ。「パーン」って銃声の後、「ゴロゴロゴロ」「ガチャ」って音が来て、「パシッ」って聞こえてシクシク泣く。あの間がね、リズムが良くて好きなんです。
レンタルビデオ屋でVHSを借りては返すを繰り返していましたが、中学生のあるとき、レンタル落ちしたVHSが大量に売られていて、その中に「ヒルコ/妖怪ハンター」があった! 値段を見たら2千円。お金を持っていなかったから、慌てて家に帰って「頼むから2千円下さい」って母親に懇願してお小遣いを前借りしました。その時買ったVHSは今も持っています。
ただただ怖がらせようっていうんじゃなくて、ちょっと笑わせようとしている。沢田さんの演技力やキャラクター性もあるでしょうけど、ホラーにしてはすごくすがすがしい終わり方をする映画です。
(聞き手・宮嶋麻里子)
監督・脚本=塚本晋也
原 作=諸星大二郎
出 演=沢田研二、工藤正貴、上野めぐみ、竹中直人、室田日出男ほか おしきり・れんすけ 1979年生まれ。
代表作に「ハイスコアガール」「ミスミソウ」など。「ハイスコアガール DASH」「おののけ! くわいだん部」を連載中。 |