「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
下の子どもがおなかにいる頃、当時、保育園児だった子どもと見たのが最初です。
遺伝子疾患を持ち、生まれてから27回の手術を行った、オギーという男の子が主人公。両親は息子が学校で外見をからかわれるのを心配し、母親が自宅で勉強を教えていました。しかし、オギーは理科の授業をどうしても受けたくて、小学校5年生から学校に行きます。同級生から意地悪をされたり、変な目で見られたりしますが、学校生活を通し、本人も家族も様々な経験をしながら成長していきます。
私は小学校の頃、太っていました。外見でいじられたり、笑われたりすることがありましたから、オギーの気持ちがよく分かります。オギーは得意の理科が自信となり、次第に心を開いていきます。テストでジャックにこっそり理科の答案用紙を見せたことがきっかけで2人は友達になりました。私の場合は絵が助けになりました。普段、イヤなことを言う子が、図工の時間になると「おまえ、うまいなあ」と、私の絵を褒めてくれたのです。得意なことがいつか自分を助けてくれることもある。好きなことを頑張ろうと、我が子にも思ってもらえるような映画だと思いました。
オギーはジャックが放った陰口を耳にし、2人は仲たがいをしてしまいます。でも理科の発表会の準備を一緒にする中、ジャックがオギーに謝ってまた仲良くなります。ごめんねを温かく受け入れることは、簡単でないけど必要ですよね。ブラウン先生の言葉、「人をいたわれ。みんなも闘ってる」は印象に残っています。
(聞き手・隈部恵)
監督・共同脚本=スティーブン・チョボスキー
制作=米
出演=ジェイコブ・トレンブレイ、ジュリア・ロバーツほか はまのゆか
1979年大阪府生まれ。「13歳のハローワーク」(村上龍著 幻冬舎)、「小学校の生活」(学研プラス)など著書多数。 |