「なごみの米屋」のぴーなっつ最中 地元・千葉の名産、落花生が練り込まれたあんが詰まっていて、食べると地元で過ごした時間を思い出します。
炭鉱が栄えた明治時代からある、福岡県直方市のお菓子で、近くの市の田川出身の僕も幼い頃から食べています。名前の「成金」は、あの時代に炭鉱で一発当てて金持ちになった人が多くいたことに端を発するとか。パンチのあるワードだけれども、歴史の長さを感じさせる銘菓です。
梅の焼き印が押された生地はもちもちしていて、白あんがぎっしり隙間無く詰まっています。上品な甘さで、甘すぎない。豆の味がしっかり感じられる絶妙な煮加減で、硬めの食感が食べていて楽しい。今も直方市に用事があると、買うようにしています。大きさはいろいろあって、子どもが小さい頃は、ホールケーキくらいのサイズを家族で切り分けて食べるのが楽しみでした。
お店は駅近くの商店街を入ってすぐのところに。昔ながらの商店街の一角で、田舎のおばちゃんたちが一生懸命手作りしている風景が懐かしく、見る度に「ああ、帰ってきたな」と自分の子ども時代を思い出します。今どきネットでもなく、電話やFAXで通販するところも含め、昔ながらの店構えが昭和っぽくて、ほっとする温かさがあるんですよね。長年愛され続ける、これからも残しておきたいお菓子です。
(聞き手・片野美羽)
◆福岡県直方市古町17の8(問い合わせ・FAXは0949・22・0170)。
9㌢1個181円。
午前9時~午後5時。
(水)休み。(火)がお休みの場合もあり。
電話、ファクスで取り寄せ可。
詳細は下記公式サイトで。
「筑豊の味 成金饅頭 大石本家」
http://narikinmanju.com/
なかしま・かずき 劇作家、脚本家。劇団☆新感線の座付き作家。
4月14日~30日、東京建物Brillia HALLで開催の舞台「サンソン―ルイ16世の首を刎(は)ねた男―」(白井晃演出、稲垣吾郎主演)では、脚本を担当。大阪・長野でも巡演。