森万里子作(東京都港区) 滑らかな曲線が美しい弧を描いて上昇しては、緩やかに下りてくる。
千平方メートルの屋内展示場に子どもたちの歓声が響く。その指さす先にあるのは段ボール製の蒸気機関車(SL)「D51」だ。全長20、幅3、高さ4メートルの実物大で、車輪を動かす装置など1700の部品はすべて段ボール。精巧に再現され、今にも動き出しそうだ。
ここは、阿蘇の山並みを望む標高190メートルほどの丘の上。熊本県南関町にあるホテルセキアの敷地内に昨夏オープンした「段ボールSL館」だ。D51のほか、全長22メートル、部品数3千のC62など計4両が展示され、無料で見学できる。
作者は段ボール工芸家の島英雄さん(70)。60歳の時に自身の建築設計事務所を後進に託し、段ボールでSLを作ろうと思い立った。建築模型で多用してきた段ボール。「使い道に可能性を感じていました」。もともと鉄道好き。D51や新幹線の生みの親で元国鉄技師長の故島秀雄さんは父の友人だった。子どもの頃は同名の島さんに連れられ、車両基地に通った。
D51とC62の設計に3年、D51の制作には10カ月かかった。完成後は国内50カ所以上で展示。常設場所を探すなか、友人を介してホテルセキアと出会った。総支配人の後藤大次郎さん(75)は「夢のある作品。子どもにぜひ見てもらいたいと思った」と話す。
ラジオで展示を知ってすぐに見に来たという50代の女性は「すごい迫力ですね」と驚いていた。
(牧野祥、写真も)
《アクセス》大牟田駅から無料シャトルバスで約40分。
段ボールSL館 熊本県南関町関村1556(問い合わせは0968・69・6111)。午前10時~午後5時。SL1両は、3月22日までの「特別展 天空ノ鉄道物語」(東京)に出展中。 |
南関町の特産品南関あげ(小3枚入り150円)は、常温で3カ月ほど保存できる油揚げ。豆腐を圧縮して水分を減らし2度揚げしている。地元では巻きずしののりの代わりにも使われる=写真。問い合わせはいきいき村(0968・53・0388)。
同町の隣の福岡県大牟田市は「日本のカルタ発祥の地」をうたう。大牟田駅から徒歩10分の三池カルタ・歴史資料館(問い合わせは0944・53・8780)では様々なカルタを紹介。午前10時~午後5時。原則(月)と毎月最終(木)休み。