「五感で楽しめる」県立美術館 2015年4月24日(金)、「日本一のおんせん県」を名乗る九州・大分に大分県立美術館(OPAM)が開館します。長崎県美術館(2005年)、青森県立美術館(2006年)以来、9年ぶりに新設される県立美術館です。
水戸と聞いてまず真っ先に頭の中に思う浮かぶものと言えば、納豆、黄門さま、偕楽園の梅(次点であんこう鍋)ですが、NHKの地震発生時や台風接近時のニュース映像にしばしば登場する、銀色に輝くスマートな塔(タワー)もベスト3と同じくらい真っ先に思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
そんな水戸のシンボルともいえる塔(タワー)は、街の中心地に今から25年前の1990年(平成2年)に誕生しました。塔を囲むように、美術館・コンサートホール・劇場からなる複合施設、水戸芸術館が建てられています。複合文化施設のシンボルが、四半世紀の時を経て今ではすっかり水戸市を代表する建造物として広く知られるまでになりました。
正三角形で構成された正四面体を規則的に積み重ねた洗練された形態で、その稜線(りょうせん)をたどっていくと、三重らせんが空高くまで上昇し天まで届くかのようなデザインです。きらめくチタン製の外装と作用しあい、未来的なイメージも同時に喚起させる美しいアートタワーです。
高さ100mを誇るこのタワーの内部は4階建ての構造となっていて、中央にエレベーターが設置されています。途中、ガラス張りのエレベーターから内部構造を見ながら200円で最上部の展望台まで連れて行ってくれます。芸術館現代美術ギャラリーで開催される展覧会にもこのタワーやエレベーターを取り入れた作品が展示されることもあり、そうした観点からもまさに「シンボルタワー」であることがよく分かります。
小学校の跡地を利用し、水戸市市制100周年記念施設として建てられた磯崎新設計の水戸芸術館は、開館以来自主的な企画を毎年行っています。都心から100kmも離れた場所にありながら、水戸芸術館で開催される展覧会やコンサートを目当てに足を運ぶファンも多く抱えています。中でも、大きさ、光の状態などが違う九つの展示室から構成されている美術館(芸術館現代美術ギャラリー)は開催される展覧会ごとに別空間と化し、プラスアルファの感動を与えてくれます。銀色に輝く塔を目指し、いざ水戸へ!都内では味わえない魅力的な展覧会が待っています。
音楽・演劇・美術などの各分野における優れた芸術評論を発表した人に毎年贈られる「吉田秀和賞」も実は、水戸芸術館の母体である水戸市芸術振興財団が主催しているものです。1991年、第1回受賞作 秋山邦晴「エリック・サティ覚え書」(青土社)から、2014年受賞作、通崎睦美『木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」』(講談社)まで24回目を数える栄誉ある芸術賞です。国内外で活躍するアーティスト(音楽、演劇、美術)の多彩な催し物を積極的に紹介するだけでなく、こうした顕彰も行っている点からも、単なる芸術ホールではないことを知ることが出来ます。 |
水戸芸術館
〒310-0063
水戸市五軒町1-6-8
開館時間:午前9時30分~午後6時
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)・年末年始
電話:029-227-8111(代)
URL:http://arttowermito.or.jp/
【筆者プロフィール】
中村剛士(なかむら・たけし)
Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を執筆。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する有名美術ブロガー。単行本『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)の編集・執筆なども。
http://bluediary2.jugem.jp/