竹一重切花入 銘「音曲(おんぎょく)」
秀吉の小田原攻めに同行した利休作。華麗なる来歴。
京都・祇園祭のにぎわいを描いた祇園祭礼図。本作はもともと巻物だったが、12分割され、千利休の孫の千宗旦がそれぞれに奥書を加えたとされる。奥書には、織田信長の遺品で利休が拝領したと記されている。
分割された12点のうち、現在は3分の2ほどが確認されているという。本作は幕末、裏千家の家元から射和(いざわ)(現・松阪市)の豪商竹川家に譲られ、のちに竹川家と姻戚関係にあった川喜田家にわたった。「400年以上前の風俗を伝える貴重な資料」と、学芸課長の龍泉寺由佳さんは話す。
石水博物館の前身を創設した川喜田家は江戸時代から木綿問屋を営み、江戸・日本橋に営業拠点を置く「江戸店(えどだな)持ちの伊勢商人」として栄えた。歴代当主は、和歌や俳諧、国学など様々な文化活動にも精力的に取り組んだ。茶の湯もたしなみ、様々な交流を生んだことがコレクションの礎になったという。