森万里子作(東京都港区) 滑らかな曲線が美しい弧を描いて上昇しては、緩やかに下りてくる。
パシフィコ横浜・国立大ホールのエントランスに入ると、頭上に星空が広がった。巨大なステンドグラスの作品だ。貝をイメージし、曲線を多用した同ホールの優雅な雰囲気と相まって、港町横浜の美しい夜空を眺めているような感覚になる。
作品は、幅が最大19メートル、縦13メートル。1994年、同ホールの開館に合わせて設置した。原画を手がけたのは、日本画家・平山郁夫(1930~2009)。同年の横浜開港記念日(6月2日)に横浜上空で見られる星座を解析し、描いたという。
制作を請け負ったのは、静岡県熱海市にあるクレアーレ熱海ゆがわら工房だ。ステンドグラス作家の池内康(1944~94)にデザインを依頼。模型を造って、平山氏に監修を受けながら進めた。岩絵の具で描かれた、重厚な原画の風合いを表現するため、ドイツの手作りガラスを採用。現地に赴いて注文した。
制作期間は93年8月からのおよそ9カ月。使ったガラスは81色。280ものパネルを制作した。同工房の福井英夫さん(60)は「ホールにすべてのパネルを持ち込み、組み立てました。完成した作品を見たときには、感動した」と制作当時を振り返る。
作品の右下に、平山氏直筆のサインが残る。「日本画とステンドグラスという、古来の東西文化から生まれた夢のような作品」と平山が話した通り、今も幻想的な輝きで人々を魅了し続けている。
(西村和美)
パシフィコ横浜 みなとみらい21地区に1991年にオープンした、複合コンベンション施設。「波と風と光」をテーマに設計された。5000人収容の国立大ホール、約2万平方メートルの展示ホール、約50室の会議センター、ホテルからなる。ステンドグラスが設置されている国立大ホールは94年4月開館。イベントなどの開催時に利用者が見られるほか、月数回の特別開放時に見学できる。 《アクセス》みなとみらい線・みなとみらい駅から徒歩5分。 |
国立大ホールから徒歩2分。ぷかりさん橋は建物自体がぷかりと海上に浮かぶ。2階にはインターコンチネンタル ホテルが運営するレストランピア21がある(TEL045・223・2267)。ランチセット(写真はイメージ、1500円~)などを提供。
同大ホールから徒歩5分、マークイズみなとみらい5階のオービィ横浜(TEL319・6543)は、カピバラなどの動物とのふれあいや、マウンテンゴリラの迫力ある4D映像体験ができる。入館料は800円。ほか別途料金あり。