森万里子作(東京都港区) 滑らかな曲線が美しい弧を描いて上昇しては、緩やかに下りてくる。
車と人が行き交う、今池の大通り。交差点を挟んで、二つのモニュメントが立っている。カラフルな鋼管の上に彫刻が乗る、高さ10メートルの作品は、舞台の踊り子をイメージした「ショータイム」とサックスを吹くミュージシャンが登場する「熱くいこうぜ!」。ライブハウスや映画館が集まるこの町を象徴する作品だ。
今池は名古屋駅から地下鉄で五つ目。戦後は闇市でにぎわい、1990年代以降は、夜な夜な開かれるライブや映画上映に若者が集うように。名古屋市は今池商店街連合会とともに、米ニューヨークの舞台芸能の中心地になぞらえ、町のコンセプトを「今池ブロードウェイ」と定めた。この町にふさわしい彫刻を、と95年に米の現代美術家レッド・グルームス(81)にデザインを依頼した。
イメージをつかむため今池を訪れたグルームスは、ライブハウスに足を運び、商店街の人々と親しく交わった。「気さくでナイーブな大男だった」とアドバイザーを務めた名古屋芸術大教授の茂登山(もとやま)清文さん(67)。グルームスは見聞をもとにスケッチを起こし、鋳型原型のチェックや塗装仕上げも自ら行ったという。
その後、姿を消した文化施設もあるが、路上プロレスなど新たな潮流が生まれてきた。演者も観客も熱く沸く今池の「ショータイム」魂は今も健在だ。
(井上優子)
今池商店街連合会 1989年、地下鉄桜通線が中村区役所-今池間で開業。それを機に三つの商店街が今池商店街連合会を結成した。同年開催した祭りは「いきいき今池お祭りウィーク」として続き、今年9月16、17日で30回目を迎える。91年には市のモデル商業地の指定を受け、「今池ブロードウェイ」計画が立ち上がる。そのコンセプトのもと、94年にはニューヨーク風に「1番街」などのアーチ、97年に本作が設置された。 《アクセス》今池駅出口すぐ。 |
やきとり屋きも善(TEL052・733・5868)は「どて煮」(写真、320円)も名物だ。濃厚な赤みそを煮込んだ、まろやかな味わいがやみつきに。ホップの利いた「今池ビール」(550円)がよく合う。午後5時~翌午前0時((祝)(休)は10時まで)。(日)休み。
近くには、テーブル席でゆっくり音楽を楽しめるライブハウスTOKUZO(TEL733・3709)も。ロック、ジャズから落語まで、様々なジャンルの出演者が日替わりで登場する。豊富な食事メニューも魅力。午後6時~翌午前5時。不定休。どちらも作品から徒歩5分。