熱海市と函南(かんなみ)町にまたがる日金(ひがね)山の山頂。ここから伊豆、駿河、遠江、甲斐(かい)、信濃、相模、武蔵、上総、下総、安房の十の国を見渡せたとの言い伝えから十国峠と呼ばれる。晴天時には富士山や駿河湾のほか、湘南海岸や三浦半島の大パノラマが広がる。条件次第では約100キロ先にある東京スカイツリーも見える。
箱根・十国峠ケーブルカー運転士の渡辺将千(まさかず)さん(27)は、毎朝8時の富士山の様子を撮影し、フェイスブックなどを使って、熱海市内のホテルを中心に約30施設に画像を配信している。熱海市の中心街からは日金山などの稜線(りょうせん)に遮られて富士山がほとんど見えない。標高770メートルの十国峠駅は、市内から富士山が見える数少ないスポットだ。熱海の観光客を十国峠にも足を運んでもらおうと2013年から始めた。渡辺さんは「熱海からは車やバスで約30分。写真どおりの迫力ある富士山と絶景を、ぜひ確かめに来て」と呼びかける。
おすすめは、空気の澄んだ晴れた冬の午前中。十国登り口駅からも見えるが、標高が約100メートル高い山頂の十国峠駅では、さらに絵はがきのような雄大な富士山を望める。今年の元旦には、初日の出に染まった「赤富士」も出現した。
冬の下り最終間際に山頂から見られる、駿河湾に沈んでいく夕日は、渡辺さんにとって一番のお気に入りだ。「この時期とっておきの景色。一瞬のシャッターチャンスを逃さないで」
文 佐藤直子/撮影 横関一浩
箱根・十国峠ケーブルカーは、十国登り口駅と展望台のある山頂の十国峠駅の316メートルを3分で結ぶ。 十国登り口駅から車で約20分の熱海梅園では、3月6日(日)まで梅まつりを開催。59種472本の梅が順々に開花する。高校生以上300円。問い合わせは公園緑地室(0557・86・6218)。 同駅から車で約25分のかんなみ仏の里美術館(TEL055・948・9330)では、函南町桑原の住民が厚い信仰によって守ってきた、平安時代や鎌倉時代などの仏像24体を展示。観覧料300円。小中学生100円。原則(火)休み。
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箱根・十国峠レストハウス(TEL0557・83・6211)では、三島市の箱根西麓(せいろく)地域で採れた大根で作った漬物「伊豆みそもろみ大根」、「割干し大根 しょうゆ漬け」(写真、いずれも470円)を販売。名水百選の柿田川の湧水を使った。 |