ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
「自然を生かす」ステンレス直方体
自然豊かな伊豆高原の高台に立つ池田20世紀美術館は、舗装材メーカー・ニチレキ創業者の池田英一氏(1982年死去)のコレクションを母体に75年に開館。「人間」をテーマに人物画を中心とした1400点以上を所蔵する。
シンボルマークは、全面がステンレススチールに覆われた建物がモチーフ。無駄をそぎ落とした直方体のデザインをそのまま写し取っている。制作は、建物を設計した彫刻家・井上武吉(1930~97)自身が手がけた。
井上は設計にあたり欧米に出張し現代美術館を調査、「模型を作っては潰し、又作っては潰し」、池田氏らも交えて細部を固めた。周囲の自然を生かす建物にするには、自然に溶け込ませようとするのではなく、むしろ変化によって自然を強調するべきだ、というのが井上の考えだった。
館長の伊藤康伸さんは、「自然環境の中で印象に残る建物で、マークも当館のイメージが伝わりやすいもの」と話す。
◆池田20世紀美術館 静岡県伊東市十足614(問い合わせは0557・45・2211)。午前9時~午後5時。(祝)を除く(水)休み(7、8月、年末年始は無休)。