ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
ストライプの建築と文字のハーモニー
流行の発信地、東京・神宮前に1990年に開館し、現代アートを展示するワタリウム美術館。創始者で初代館長の和多利志津子さん(1932~2012)、娘で現館長の恵津子さん(65)、息子で代表の浩一さん(62)ら家族を中心に運営してきた。
ロゴマークをデザインしたのは、開館前から一家と親交のあったデザイナー・写真家の近藤良一さん(78)。モチーフは正面から見た館の建物だ。
打ちっ放しのコンクリートと黒い石材の横じまが印象的な建物はスイスの建築家、マリオ・ボッタの設計。開館の5年前から計画を練り上げていった、一家にとって思い入れの深い建物だ。
「建物の意匠を簡潔に表現し、ロゴをバランスよく調和させることを念頭に作業に入った」と近藤さんは振り返る。太い縦線と細い横線のコントラストが強いモダンタイプの書体は、幾何学的である点が建築と共通する。
時代の流れに敏感に反応する展示を発信する館だが、ロゴマークは開館以来30年以上、まったく変わっていない。
◆ワタリウム美術館 東京都渋谷区神宮前3の7の6(問い合わせは03・3402・3001)。午前11時~午後7時。(祝)を除く(月)、年末年始休み。