ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
ツルハシではなく 起源はドイツ
採鉱地を示す日本の地図記号、ではない。よく似ているが、ドイツで広く用いられる炭鉱のマークだ。日本の記号が交差したツルハシを図案化しているのに対し、こちらはタガネとハンマー。考案した夕張市石炭博物館館長の吉岡宏高さん(57)は「日本とドイツの深いつながりを表現したかった」と話す。
石炭が筆頭エネルギーだった1950年代後半、日本の炭鉱はドイツから採炭機械を導入したり、進んだ技術を習得するため400人以上の労働者をドイツの炭鉱に派遣したりした。幌内炭鉱(三笠市)で育った吉岡さんはドイツに派遣された労働者を通じて幼い頃からドイツを身近に感じていたという。
同館は市が開発したテーマパーク「石炭の歴史村」の中核施設として80年に開館した。市の財政破綻後も存続、2018年からはNPO法人炭鉱(ヤマ)の記憶推進事業団が運営を担い、石炭産業の盛衰をはじめ地域再生への歩み、市民の暮らしにも焦点を当てる。法人理事長でもある吉岡さんは「炭鉱遺産は人々が北海道で懸命に生きてきた証し。その記憶をこれからも残していきたい」と願っている。
◆夕張市石炭博物館 北海道夕張市高松7(問い合わせは0123・52・5500)。(火)休み。4月下旬まで冬季休館中。