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街の十八番

須藤本家@茨城県笠間市

平安から受け継ぐ日本酒造り

母屋の前に立つ須藤源右衛門さん
母屋の前に立つ須藤源右衛門さん
母屋の前に立つ須藤源右衛門さん 左から「郷乃譽・白ラベル」「山桜桃(ゆすら)」「生酛純米大吟醸酒 郷乃譽」「郷乃譽・赤ラベル」。1・8リットル、3393円から

 JR友部駅から車で約10分。田園地帯の道の先、樹木に囲まれた酒蔵「須藤本家」がある。

 創業年は不明だが、平安時代の永治元(1141)年、須藤家27代目の頃には、すでに酒造りをしていたとされる古文書が残る。元々は武士だった先祖が、地域活性化のために始めたとされ、武士の名である武左右衛門とは別に源右衛門と名乗り代々襲名している。

 現当主は55代目の須藤源右衛門さん。地元産の米と伏流水にこだわる須藤本家の酒は、代表銘柄の「郷乃譽(さとのほまれ)」など12種類の純米大吟醸酒のみ。杜氏(とうじ)と7人の蔵人が11月中旬から4月上旬にかけて酒造りをし、自然の力を使った古来の製法「生酛(きもと)」も受け継いできた。生酛は、蒸米に米こうじや水を加えてすり潰し、自然の乳酸菌や蔵にすみ着く酵母を取り込みアルコール発酵を待つなど、通常の仕込みの倍以上の日数と技術がいる。しかし「生酛を知っているかどうかで酒造りの見え方も変わる」と須藤さんは言う。「味と香りは受け継ぐことでしか伝わらない」。そこには800年を超える歴史があるのだ。

(文・写真 町田あさ美)


 ◆茨城県笠間市小原2125(TEL0296・77・0152)。午前9時~午後5時。(日)(祝)休み、(土)不定休。友部駅から車。

(2017年9月15日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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