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おんなのイケ麺(めん)

小森はるかさん
「釜揚げ屋」のわかめラーメン

「釜揚げ屋」のわかめラーメン
「釜揚げ屋」のわかめラーメン
「釜揚げ屋」のわかめラーメン 小森はるかさん

 「わかめラーメン」は岩手県のうどん屋さんが作っています。

 県東部の「道の駅やまだ」では生麺だけでなく調理したものを食堂で提供していて、いつか食べてみたいと思っていました。今年3月、制作した映画の上映会が宮古市で開かれたので、その途中で道の駅に寄りました。

 県産小麦を使った麺に三陸のワカメが練り込まれ、緑の麺がとてもきれい。三陸には魚介や海藻をのせた磯ラーメンはありますが、麺にワカメを練り込むのは初めて見ました。

 ほのかにワカメの香りがする麺はもちもちしてコシがあり、エビ風味の塩味スープとよく合うんです。具はワカメとネギにゴマ。シンプルですがそれだけで十分です。

 このラーメンは地元の素材にこだわり、地域の人も食べている。そういった土地に根付いたものにひかれます。

 でも、土地の人しか知らないものや場所には軽々しくは踏み込めない。だから道の駅やまだのように、地元の人もいながら外の人も迎え入れている、人々が交ざり合っている場所が好きですね。

 東日本大震災を機に東北に移り住み制作している私の作品も、根底にはそういう思いがあるのかもしれません。

 ◆岩手県山田町の釜揚げ屋(問い合わせは0193・82・2173、(月)休み)の店頭のほか、オンラインショップ、同町の「道の駅やまだ」で販売。
 2食入り367円(クール便送料別)=写真は調理例。


 こもり・はるか 映像作家。
 1989年静岡県生まれ。東日本大震災のボランティア活動後、2012年に岩手県陸前高田市に移住。現在は仙台市在住。主な監督作に「空に聞く」、「二重のまち/交代地のうたを編む」(瀬尾夏美と共同制作)。

(2021年6月10日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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