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私の描くグッとムービー

安藤裕子さん(歌手・俳優)
「サスペリアPART2」(1975年)

子どもの時に見た鮮烈さ 旋律の原点

 原題はイタリア語でPROFONDO ROSSO深紅)」。魅力は、原題通りの真っ赤な色彩と不気味な音楽と、ホラーのはずなのに、どこかキャラクターに愛嬌があり笑えもするところですね。
 
 ローマで起こった連続殺人事件の謎を解くピアニストの物語。事件のたびに「ゴブリン」というバンドのテーマ曲が流れ、ベースの不気味なフレーズにあわせて映像がリズミカルに入るんです。
 
 はじめて見たのは、小学校の低学年のころ。学校から帰って1人でテレビのホラーやサスペンス番組を見るのが楽しみでした。その中で最も印象に残ったのが「サスペリアPART2」。作品の中で、血の付いた包丁を持った子どもの絵が出てくるんですが、その絵が鮮烈で何十枚も模写したりして。ちょっと変わった小学生ですよね(笑)。
 
 今回描いた女の子は、私がその絵に引かれて描くようになったキャラクター。サインの横にいつも描きます。映画を意識して強めの真っ赤な背景で、コラージュも使いポップに実験感覚で描きました。どこか子どもの時に描いていた絵を追い求めているのかもしれません。
 
 20歳のころから音楽活動を始めましたが、悲しみも笑いもひっくるめて割り切れない人間の営みを表現したいんです。音楽作りで映画を採り入れることがありますね。休養期間を経て、セルフプロデュースしたミニアルバム「ITALAN」の「こどものはなし」も、映画で流れる童謡をオマージュしています。この映画音楽は、まさに自分が作りたいと思う旋律の原点でもあるんです。

(聞き手・三浦旋律)

 

 

  

 監督・脚本=ダリオ・アルジェント

 製作国=イタリア

 出演=デビッド・ヘミングス、ダリア・ニコロディほか

 あんどう・ゆうこ 1977年生まれ。新曲「STEP OUT」配信中。28日にアコースティックツアー「アナタ色ノ街Vol.2」(三越劇場)に出演。

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