つめをぬるひとさん(爪作家)
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
高知の映画館で9歳のときに見ました。主人公のエリオットの乗るBMXが劇場の入り口に飾られていて、かっこいいなあと思って。これ、日本製なんですよね。当時は物語より自転車に引かれたんですが、大人になって何度も見るうちに「すごい作品だ」ってあらためて気づいたんです。
出会い、友情、別れ。ただ感動するだけじゃなくてユーモアもある。いろんな感情がぎゅっと詰まっていて、さすがスピルバーグだと思います。
イラストにも描いたんですが、エリオットを中心にお兄ちゃんやその友達が団結してE.T.を助けようと、大人たちをうまく撒いて逃げ切るシーン。子供だからこそまっすぐにやってのける、潔さと爽快さ、根拠のない自信、挑戦。そういうところに感動し、嫉妬してしまうんです。もう大人になってしまったから同じことはできないなって。でも子供たちの素晴らしいところを見て、愛する気持ちや誰かを大切に思いやる気持ちを逆に学ばせてもらった気がします。
音楽もすごく好きなんですよ。ジョン・ウィリアムズの音楽があることで、感情も入りやすくなる。あまりに好きすぎて毎朝E.T.で起きたいなと思って、子供たちが逃げ切るシーンでかかっていた音楽を目覚ましにしているほど(笑)。
絵本を作るときは「こうしたら子供は喜ぶんじゃないか、わくわくするんじゃないか」と思えるものを一生懸命探すんです。成長するにつれて忘れてしまった大切な感情を探し、掘り起こす。E.T.はそんな子供ならではの気持ちを思い出させてくれる作品です。
(聞き手・片山知愛)
監 督=スティーブン・スピルバーグ
音 楽=ジョン・ウィリアムズ
出 演=ヘンリー・トーマス、ロバート・マクノートンほか しばた・けいこ 高知県在住。
「パンどろぼう」「しろくま」シリーズなどの絵本多数。最新作に「パンダのおさじとフライパンダ」(ポプラ社)。 |