つめをぬるひとさん(爪作家)
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
うちは母親が忙しく働いている家庭で。留守番するときにVHSで繰り返し見ていた子ども向け映画です。小学生のとき、周りに同じような家庭がなくて、珍しがられたんですよね。だからか、主人公の元妻であるバリキャリのお母さんに親近感が湧いて。しかも、ミセス・ダウトがうちのおばあちゃんに似てたんです。女性の平均身長より高いところや、両親が外で働いている間に面倒みてくれるところも。最初にこの作品を見て、おばあちゃんみたいなでっかい人がいるな、と思っていました。
大人になってから改めて見返すと、主人公の方に同情しちゃうんです。ロビン・ウィリアムズの子どもを見るあの目で「パパはここにいるよ」って言われたら、もう泣いちゃう。家事をやらずに子どもと遊び放題で、声優の仕事も飛んじゃう駄目なパパです。けど、家事をやらないのはサボろうとしたのではなく、実は生活力が本当にないから。周りに支えられて生きている人なんです。あまりにも子どもたちが好きで、ただ一緒にいたかっただけなのに。自分の好きな人を自分が苦しめていたら、それはとんでもない苦悩だと思うんですよね。その悲しみが伝わってきちゃって。
どうにかして子どものそばに居ようと、ミセス・ダウトという老婦のベビーシッターに扮したパパ。きれいな家族の形じゃないですが、役割を得て家族と関わっていく結末は、複雑な家族の形を表現していますね。ミセス・ダウトとしてパパが「家族のあり方は様々あるのよ」と、テレビの中から語りかける最後のシーンは、子ども心に見られてよかったなと思っていました。
(聞き手・片野美羽)
監督=クリス・コロンバス
撮 影=ドナルド・マカルパイン
製作国=米国 主 演=ロビン・ウィリアムズ、サリー・フィールドほか はましゃかさん マルチクリエーター。
4月22~23日、東京都品川区大井1丁目の「PARK COFFEE」で似顔絵イラストの講習会を開催予定。 |