秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
冷静に考えると特に内容は無いんです。でも、人生を追体験するような感覚で。なんだかすごく感動して、すぐもう一度劇場に見に行きました。
一人の少年の6歳から18歳で独り立ちするまでを描いた成長物語。同じキャストを1年ごとに実際に12年かけて撮影しているんです。離婚した実父との交流や義父の暴力、初恋などの過程を経る中で登場人物がリアルに少しずつ年をとっていく。3時間弱という凝縮した時間の中に12年の時の流れを感じて、ちょっと怖くなります。昔の写真を見た時の懐かしさと怖さを同時に覚えるような感覚かな。筋書きのあるドラマでこんな手法を用いた映画って、他にないんじゃないですか。
主人公は、あまり感情を表に出さずいつもほんのりつまんなそうな少年メイソン。思春期のややこしい悶々とした感じや、親とどっか一緒に行く時のつまんなそうな空気感。端っこから世の中を眺める感じが映画全体のトーンにもなっています。僕も転校が多かったせいか、小さい頃から心の底からはしゃげないタイプで。共感する部分はある。最初は未熟な感じの母親と父親も、見た目も含めて徐々に「親」になっていって。どこまでが演技なのかなって気分になりますね。
イラストは、なんとなくの成長の流れ。映画の主人公ではないですよ。小学校に上がって内向的になった少年が、楽器とかで発散しだして、自意識過剰の恥ずかしい感じになって大人になるっていう。別に自分を描いた訳ではないんですけど、言われてみるとそう遠くもないですね。こんな18歳ではなかったですけどね。
(聞き手・安達麻里子)
監督=リチャード・リンクレイター
製作=米
出演=エラー・コルトレーン、パトリシア・アークエット、イーサン・ホークほか さかもと・しんたろう
ゆらゆら帝国の元ボーカル、ギター。解散後はソロで活動。28日、新曲「小舟」をレコードとデジタルで発売。11月から国内ツアー。 |