秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
映画は、高校生の頃から意識してよく見るようになりました。一時期、映画監督を目指していたこともあり、いろんなジャンルを見ていました。
中国が舞台のサスペンス。元刑事のジャンは、猟奇的な連続バラバラ殺人事件を独自に調査しています。やがて被害者の男たちが殺される直前に親密な関係にあった、クリーニング店で働く女性のウーに行き着きます。そしてジャンもまた、ウーに引かれていきます。
僕、映画を見てもストーリーは次の日には忘れちゃうんです。でも、この映画は映像的な後味が強くて、後々まで記憶に残るシーンがたくさんあります。ジャンが、ウーと一緒に屋外スケートリンクに行くシーン。辺り一面雪景色に囲まれたリンクをグルグル回ります。これがまるで白昼夢のようで。原題は「白日焔火」で、「白昼の花火」という意味です。原題のような非現実的な雰囲気、浮遊感が映画に漂っています。
徐々にジャンが事件の核心に迫り、ウーと2人で観覧車に乗ります。観覧車といえば、ドラマチックなシーンによく出てきます。けれども、この映画の観覧車のシーンは、緊張感がありつつ映像的にも美しくて、かつエロチックでもあります。控えめですが、お互いの気持ちが最高潮に達する様子が映し出されていて、印象的でした。
あと、ジャンがウーと入った食堂で食べる肉まんが、めちゃめちゃおいしそう。イラストは、そのシーンにウーや、事件解決の鍵となるナイトクラブ「白日焔火」を入れて描きました。
(聞き手・渋谷唯子)
監督・脚本=ディアオ・イーナン
製作=中・香港
出演=リャオ・ファン、グイ・ルンメイ、ワン・シュエピンほか しごくん
NHK「おやすみ日本」の「日本眠いい昔ばなし」のイラストや雑誌の挿絵などを手がける。コミック「I My モコちゃん」(玄光社)を発売中。 |